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概要
2005年に開催された第12回電撃小説大賞の銀賞受賞作品。支倉凍砂のデビュー作となる。ファンタジーにありがちな剣や魔法が登場せず、中世ヨーロッパ的な世界での経済活動に争いの舞台を置くという異色作[1]である。宝島社の『このライトノベルがすごい!2007』において2006年度の作品部門で第1位、キャラクター女性部門でもヒロインのホロが第1位を獲得する人気作品となった。シリーズ累計発行部数は120万部を超える[2]。
メディアミックスも行われており、「電撃「マ)王」2007年11月号より小梅けいとによる漫画版の連載が開始され、2008年1月8日からはテレビアニメの放映も開始された。
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[編集] ストーリー
旅から旅へ荷馬車に揺られて各地を巡り様々な物を売り歩く行商人クラフト・ロレンスは収穫祭に沸くパスロエ村を後にしたその夜、荷台の覆いの中で眠りこける密航者を見付ける。『ヨイツの賢狼』ホロと名乗るその姿は獣の耳と尻尾をそよがせる美しい少女だった。ホロは遙か北の地にある故郷『ヨイツ』を離れての放浪する中で出会ったある青年との約束がきっかけでパスロエ村の麦に宿って数百年来、その豊作を司る生活を強いられていた。それに飽いていた上、豊作の神と崇められながらも土地を休めて豊作を維持するために必要な不作への村人の言い様が先進国の農法を取り入れてきたここ数年で酷くなって来たことへの嫌気を募らせ、帰郷の意を強めていた。そんな折、村の収穫祭の開幕となる最後の一束の刈り入れの瞬間に偶然近くを通りかかった荷馬車に積まれた麦束に乗り移り村から脱出したのだった。左前脚だけとはいえ狼としての姿を見せられたロレンスは半信半疑ながらも「遙か北の故郷に帰りたい」と願う彼女を旅の道連れとすることになる。
本作品は賢狼と行商人の道中で起こる様々な事件を軽妙洒脱な掛け合いを散りばめつつ描く「剣も魔法もない」ファンタジー物語である。
[編集] 登場人物
[編集] 主要人物
クラフト・ロレンス
声 - 福山潤
ローエン商業組合に所属する25歳の行商人。12歳で師匠に弟子入りして18歳で一人立ちした。将来どこかの街に店を構えるという漠然とした夢を描くだけの孤独な行商人生であったが、ひょんなことからホロを旅の道連れとする。ホロの老獪な言動に翻弄され、時には衝突しながらも、共に事件を乗り越える中で次第に絆を深めている。
商人として頭の切れる方ではあるが、自ら窮地を招きホロに助けられたり、道中の会話で一泡吹かせようとするも易々とあしらわれ「かわいい子」扱いされたりと些か頼りない面もある。しかし数々の事件を通して度量を拡げつつある。
女性の扱いは決して不慣れな方ではなく挨拶程度に世辞も使えるが、肝心な所で女心が判らず、自分への好意にはホロが呆れる程鈍感である。
ホロ
声 - 小清水亜美
赤みがかった琥珀色の目に栗色の髪を伸ばした十代半ばに見える少女の姿に狼の尻尾と大きな獣耳を持つ。その正体は永い時を生き、男性を丸呑みにできる程の巨狼である。尻尾の毛並みが何よりの自慢でノミ取りから櫛梳きまで常に手入れを怠らない。その耳は硬貨を打ち鳴らした音でわずかな組成の差を聞き分け、声色から嘘を見抜く。生き血か数粒の麦粒を飲み込むことで、本来の姿に戻る事が出来る。
故郷を出てしばらくの昔は各地の伝承にその名を残したが、教会関係者に悪魔憑きとして追い回されたことなどあり人前から隠れていた。ロレンスとの旅の間も気を許した相手の前以外では耳と尻尾を隠している。
「わっち(私)」「ぬし(貴方)」「〜ありんす」などという廓詞(くるわことば)を使い、「賢狼」と呼ぶに足る知恵でしばしばロレンスを助ける。
数百年もの間、神と奉られ同等の付き合いのできる相手はごく僅かしかおらず孤独な半生であったためか敬服される事を嫌い、ロレンスが対等以上に立とうと奮闘してくれる事を内心では喜んでいる。また、畏敬の念抜きで接してくるため子供には一定の好意を持っている。
美味しい食べ物、特に甘い物に目がない。また二日酔いも辞さない大酒飲みである。
胸元に下げている皮袋の麦にはホロ自身が宿り、決して腐ることなく温もりを保っている。またそれに限らず麦粒であれば瞬く間に成長させることができる。
[編集] 各巻登場人物
[編集] 1巻
ゼーレン
声 - 浪川大輔
旅の途中にロレンスが立ち寄った修道院で知り会った謎の商人。彼にトレニー銀貨の値上がりの話をする。
ヤレイ
パスロエ村の住民。数年前、ロレンスが重税による高値のために人気のなかった村の麦で薄利の商売をしていた時の村側の交渉人。現在はメディオ商会と組んで商売を行っていた。ホロを昔話で語られた狼の化身と見抜き、悪魔憑きの娘として教会に突き出すことで昔の時代と決別すると共にミローネ商会を潰そうしたが、ホロの怒りを買い思惑を果たせずに終わる。
ワイズ
声 - 花輪英司
港町パッツィオでロレンスが懇意にしている両替商。ロレンスより少し年下の金髪の青年で、師匠同士が知り合いであったロレンスとは付き合いの長い友人のような存在。女好きでかつホロから「賢い雄」と評されるあしらい上手。テレビアニメ版では初対面のホロにいきなり抱きついていた。
リヒテン・マールハイト
声 - 大塚芳忠
港町パッツィオで3番目に大きいミローネ商会パッツィオ支店の支店長。ロレンスが持ち込んだ取引話を受けて様々な面で協力する。よく頭が回り沈着冷静で丁寧な言葉遣いの人物。
[編集] 2巻
ノーラ・アレント
声 - 中原麻衣
教会都市リュビンハイゲンにある教会に雇われ羊飼いとして働く金髪の美少女。ホロも一目置く腕前で、かつ、エネクという優秀な黒い牧羊犬を連れている。仕立て屋になる夢とその反面の現状の待遇の悪さへの不満を抱いていたため、そうと気付いたホロとロレンスにある仕事を託される。
ヤコブ・タランティーノ
声 - 辻親八
教会都市リュビンハイゲンにおいてローエン商業組合の経営する商館の主。古参の商人で「ローエン商業組合にいるすべての者たちは自身の子供だ」と語る。ロレンスを師匠の下での修行時代から知っており名前で呼ぶ。面倒見の良い人物だが欲をかいて失敗した人物には商館主としての厳しい顔を見せる。
ハンス・レメリオ
声 - 郷田ほづみ
教会都市リュビンハイゲンに存在するレメリオ商会の主人。北の大遠征の中止による武具の暴落を受け破産の危機に陥る。その渦中に売れる宛をなくすことになる100リュミオーネ分の武具を持ち込んだロレンスに対して、その仕入金の一部としていたレメリオ商会宛の期限付信用貸証書記載の47リュミオーネと4分の3の返済を求める。ロレンスの提案したラムトラからの金の密輸計画に賛同し資金を提供するが、残り資金の少なさや密告の怖れを抱き、ロレンスらの始末を部下に指示する。しかし結局は密輸した金をロレンスから高値(ただし10年間の分割払い)で買い取ることになった。
マーティン・リーベルト
声 - 堀内賢雄
ロレンスらとラムトラに同行するレメリオ商会側の代表人物。帰り道でロレンスらを消そうとしたが狼に戻ったホロにより部下共々散々な目にあう。
[編集] 3巻
フェルミ・アマーティ
クメルスンに住むローエン商業組合所属の魚の仲買人。ロレンスより年下だが荷馬車3台分の鮮魚を一挙に売り捌く程のやり手。ホロに一目惚れした挙句、ロレンスと黄鉄鉱取引相場で勝負する。
ディアン・ルーベンス
大人の雰囲気を持つ美人。元は修道女だったが異端の廉で修道院を追われ、今はクメルスンの一角で錬金術師をやっている。年代記作家でもあり、各地に散らばる異教の物語を収集して書物にしている。ホロの故郷ヨイツの情報を持っている模様。ホロによるとその正体は齢を重ねた巨大な鳥の小娘である。
[編集] 4巻
エルサ・シュティングハイム
テレオの村の教会に住む無愛想な少女。村の教会にやって来たフランツ司祭に10年以上前に養子として拾われ、彼の死後に司祭を継いでいる。異教の神話を集めている司祭のいる修道院の場所を聞いたロレンス達を門前払いする。
ギヨーム・エヴァン
ロレンス達がテレオ村に向かう際、村の外れの水車小屋で粉挽きをしていた、ロレンスより6、7歳ほど年下と思しき黒髪黒目の少年。将来は村を出て、商人になる夢を持つ。
フランツ・シュティングハイム
テレオの教会に3,40年前にやってきた司祭。村人に教会の教えを強要したりもせず、テレオの麦をエンベルクは一括して買い取り、村民がエンベルクで買い物しても税金がかからない、という破格の契約を結ばせた。神に祈りを捧げる祭壇の前の石段が凹むほどの篤い信仰心をもっており、自分の信仰する神の存在を確かめる為異教の神々の話を収集、書物に編纂し教会の地下に隠した。その後体調を崩し今年の夏に亡くなった。
[編集] 5巻
エーブ・ボラン
ロレンス達が港町レノスの宿屋で出会った商人。頭巾のように頭に布をきつく巻き、鼻の上まで布で覆っている。ロレンスに大きな儲け話を切り出す。
気苦労の多い商人故、女であることを他人に悟られないようにするため隠していたが、美女で本名はフルール・フォン・イーターゼンテル・ボラン。ウィンフィール王国国王に忠誠を誓う貴族、ボラン家の第11代目の当主。家が没落し生活の糧を得るべく彼女は豪商に嫁として買われた。豪商が商売に失敗して自殺した後、豪商の財布から抜き続けていた金を元手に商いを始めた。
ロレンスに切り出した儲け話で、資本金を得るためにホロを貴族の娘と偽って人買に質に入れるように提案する。
リゴロ・デドリ
港町レノスに住む年代記作家の青年。レノスの職人・商人・貴族から成る50人の代表会議の書記でもある。そのため、町で起こっている異変にも詳しい。仕事柄一度に複数の人の表情の変化を見れて他人の考えがすぐに解る、と自分で語っていた。理解者である修道女メルタに身の回りの世話をしてもらっている。
[編集] 6巻
トート・コル
北の山奥の村、ピヌ出身の12、3歳ぐらいの少年。山2つ向こうの村に教会関係者がやってきて武力的に改宗を迫っていることを知り、村のために教会法学を学び、教会の権力機構に食い込もうとアケントという町で学校に通っていたが、本に関わる詐欺で講義料どころか食うにも事欠く程の借金を抱えてしまう。返済のための仕事を探してレノスまでやって来たものの当てが外れた上にまたも詐欺に遭い、結果陥った絶体絶命の窮地の中でロレンス達と出会う。年相応に世間知らずだが大変頭が回り覚えが良くて素直な性格。ホロとロレンスの旅に加わることとなる。
[編集] 7巻
クラス
中編「少年と少女と白い花」の主人公。ロレンスと旅をする以前にホロが200歳の頃に出会った、世に生を受けて十年とちょっとの少年。年相応に世間知らず。とある領主の屋敷で小間使いとして働いていたが、領主は旅先で死亡し代わりにやってきたその弟から他の住人共々屋敷を追い出された。杖代わりの太い枝と貧相な旅装束を携え、一緒に屋敷を出たアリエスと共に海を目指して旅をしていた。
アリエス・ベランジェ
クラスとともに旅をする少女。自分の歳を知らないが、クラスは自分よりほんの少し背が高いということで2つ年上だとしている。屋敷では物心ついた頃から石の壁に囲まれた建物から出たことが無く、鳥のことを空を這う蜘蛛と言う等クラス以上の世間知らずであるが、礼儀作法は心得ており、文字の読み書きもできる。熱心な正教徒でもある。
誰からそう教えられたのかは定かではないが、男を恐ろしい生き物だと思っている。
[編集] 8巻
キーマン
ケルーベの三角州にある、ローエン商業組合分館の副館長。ケルーベ有数の貿易商の息子で自身も貿易商人。細い体と綺麗な金髪の持ち主で、ロレンスより2歳程年下で彼とは顔見知り。町中での商売に秀でており、組合に所属する商人からの信頼も厚い。が、非常に抜けめのない性格をしており、商業組合と自身の利益を第一に考えている。
テッド・レイノルズ
銅製品を主に扱っている、ジーン商会の主人。教会からの命令で、ローム川の支流にあたるロエフ川上流にあるデバウ商会と組んで、ホロの知り合いかもしれない狼神の片足の行方を追っている。経営している商会はかなりの収益を上げているはずだが、店構えは貧相で軒先で鶏を飼っている。
[編集] アニメーション版のみの登場人物
クロエ
声 - 名塚佳織
パスロエ村で暮らす少女。ロレンスとは父親の代からの知り合いで、商売のイロハを教えてもらい商売の師と仰いでいる。小説におけるヤレイの役回りを担う。パスロエ村領主エーレンドット伯爵の命を受けてメディオ商会と組み、銀貨の回収を行った。ロレンスに対しては好意を寄せていたようだが、彼が自分に与しないと知った時には、容赦なくその殺害をメディオ商会の使用人達に命じている。
[編集] 設定・用語
[編集] 貨幣
[編集] 金貨
ヌマイ金貨
2大金貨の1つ。1巻でミローネ商会が合言葉に使用していた。
ピレオン金貨
2大金貨の1つ。1巻でミローネ商会が合言葉に使用していた。
リマー金貨
エンベルク周辺で流通している金貨。1リマーはトレニー銀貨で20枚程度。
リュミオーネ金貨
ロレンスが行商をしている地域で流通している金貨。様々な貨幣の計算基準となっている。
[編集] 銀貨
イレード銀貨
クメルスンを所有する貴族の七代目当主の肖像が刻まれた銀貨。10イレードはトレニー銀貨4分の1枚程度。
トレニー銀貨
トレニー王国が発行している、第11代目トレニー国王の横顔が刻まれた銀貨。ロレンスが行商をしている地域で流通している。銀の含有量と信頼性が共に高いため市場で人気があり、これ1枚でつつましく生活すれば優に7日は生きることができ、2000枚あれば町に自分の店を持つことができる。リュミオーネ金貨1枚との為替レートは30〜35枚。
フィリング銀貨
パッツィオから南下して川を3つ渡った先にある国が発行している銀貨。銀の含有量はなかなかのもので市場ではトレニー銀貨と並んで人気がある。
リュート銀貨
かつては偽トレニー銀貨と呼ばれていたが、数が多いため後に独立した貨幣になった。銀の含有量が低く細かい支払いに使用される。32リュートで薄めたリンゴの果汁1人分とパン2人分を買うことができる。
後期ラデオン司教領銀貨、偽マリーヌ銀貨、ファラム銀貨、ランドバル禿頭王銀貨
ロレンスが行商を行っている地域で流通している銀貨。
ミッツフィング生誕祭銀貨、ミッツフィング大聖堂銀貨、聖ミッツフィング銀貨
ミッツフィング司教区で発行された銀貨。ミッツフィング司教区からは多くの銀貨が発行されている。
偽ミッツフィング大聖堂銀貨
ミッツフィング大聖堂銀貨の偽造貨幣。
[編集] 銅貨
エニー銅貨
主に釣銭などの細かい支払いに使用される小額の銅貨。多くがウィンフィール王国に輸出されている。
トリエ銅貨
主に釣銭などに使用される小額の貨幣。
[編集] 地理
[編集] 国
トレニー王国
トレニー銀貨を発行している商業の発達した国。他国と同様中央集権が進んでおらず、国王の権力はそれ程強くない。近年王家は財政難に瀕しており、近々トレニー銀貨の純度を下げる貨幣の切り下げを行う予定である。領内の主な町はパッツィオ、主要河川はスラウド川。
プロアニア王国
北方にある異教徒と正教徒が混住する国。そのため異教徒や教会から異端視されている錬金術師や、自然学者に対して南方の国よりも比較的寛容である。首都はプロアニア以北最大の都市エンディマ。主要な町はクメルスン、レノス。主要河川はローム川。
ウィンフィール王国
ローム川を下りさらに海を渡った先にある島国。牧羊と羊毛産業が盛ん。この国は貨幣が少なく、政変があると国内の貨幣が一斉に海外に流出する為、この国の貨幣は沈没を先読みして船から逃げ出すネズミにたとえてられて「ネズミ貨幣」と呼ばれている。
[編集] 都市・町・村
アロストストック
極北と呼ばれる地域。ロレンスが行商経験でホロと出会う前に訪れた年中吹雪の恐ろしい場所。
ヨーレンツ
ロレンスが塩を売り、テンの毛皮を仕入れた山奥にある村。
パスロエ
大昔ホロが村の青年に頼まれ以来麦の管理をしていた農村。毎年収穫の頃にはホロを祭った収穫祭が開かれている。近年エーレンドット伯爵がこの村を納めるようになって以来南方の進んだ農法を取り入れ、周辺地域屈指の麦の収穫高を誇るようになった。村の近くに修道院がある。
ヨイツ
北にあるホロの故郷。大昔に、月を狩る熊という白い巨大で凶暴な熊の神に滅ぼされた、という話が残っている。フランツ司祭のまとめた本によると、ヨイツに住んでいた神々は熊が来る前に逃げ出したそうである。
ニョッヒラ
北にある各国から王侯貴族もやって来る温泉街。ホロもヨイツにいるころは、よく湯に浸かりに行った。
パッツィオ
スラウド川中流に位置する大きな港町。上流に麦の大産地と林業の盛んな山林があり、橋のないスラウド川を渡るため多くの人がこの町を通るため、商業が発達しトレニー国王から自治権を奪い取った。市内の市場には川から運河が通い、露店には様々な果物が並び、活気に満ちている。
ポロソン
かつてはとある異教の聖地だったが、激戦の末教会によって改宗し正教徒の町が作られた。交易と商取引の盛んな町だが、全住民が熱心な正教徒なので稼いだ金を全て教会に寄付してしまい、寄付金や税金は全てリュビンハイゲンに収められてしまう為、立派なのは町を囲む市壁だけで、市内は簡素な家しかなく、露店も少ない。元々が異教徒の地だったため住民には変わった苗字を持つ者が少なくない。
リュビンハイゲン
周囲を城壁の様な市壁に囲まれた宗教都市。北方に住む異教徒の討伐や改宗に赴く者たちの物資補給拠点になっている。都市は古い市壁に囲まれ中心に巨大な大聖堂の建つ旧市街と、その周りに広がる一般市街区に分けられている。都市には大聖堂を中心に、南にある都市最大の門を頂点にした5角形の形に広場が配置され、広場の中心には異教徒討伐に功績のあった騎士や、宣教に大きく貢献した聖人等の銅像がたっており、南門の広場には南の最新技術で作られた、噴水が存在する。そして広場の周辺には多くの商会や商業組合の建物が軒を連ね、常設の市が立ち、連日多くの人々で賑っている。都市や周辺地域は聖堂参事会が治めており、市中には商人顔負けの金にがめつい司祭や司教がごろごろしている。産業保護の名目で、特定の商人以外が持ち込む金や宝石に高い関税を懸けており、密輸にも厳罰(最低で利き腕の切断、最高で絞首刑)で臨んでいる。
都市の名は異教徒討伐のため、この地に砦を築き、異教の神々と戦って左腕を失った赤毛の聖人リュビンハイゲンに由来する。かつてホロはリュビンハイゲンによく似た人物に会ったことがあり、彼はホロの耳と尻尾を見たとたん、悪魔の手先と呼び、騎士達とともに槍と剣で追いかけまわした。が、最後には腹を立て正体を現したホロに騎士達を蹴散らされ、尻に噛みつかれた。
ラムトラ
リュビンハイゲンの近くにある町。異教徒が多く住んでいるが、リュビンハイゲンとこの町の間には騎士団ですら恐れる不気味な森が広がっており、未だ討伐を受けたことがない。
クメルスン
プロアニア王国の貴族によって、宗教に縛られない純粋な経済発展を願って作られた商業の盛んな町。このため宗教の束縛がゆるく、教会も存在しないため冬季にはラッドラ祭と呼ばれる盛大な異教の祭りと、営業時間を延長した大市が開催される。また、町の北側には、協会から異端視されている錬金術師や自然学者が多く住んでいる。近くに漁業の盛んな湖や川があるため、鯉等の淡水魚の料理が名物。この町にもロレンスが所属するローエン商業組合の商館が存在する。
エンベルク
プロアニア王国のやや東寄りにある町。かつては近くにあるテレオよりも小さな村だったが、南の宣教師が宣教を行った結果教会が建ち、道路が整備され今では周辺地域の交易の中心地となっている。
テレオ
ライ麦栽培の盛んな比較的大きな農村。ロレンス達はディアンに言われた異教の神話を集めている司祭が住む修道院を訪ねる為、この村を訪れた。3、40年前に村の教会に来たフランツ司祭の働きにより、テレオの麦はエンベルクに一括して買い取られ、村民がエンベルクから日常品等を買う場合は一切の税金がかからない、という破格の契約を結んでいる。しかし、村民はトルエオと言う蛇神を信仰しているため、村に建っている教会を訪れる村民は皆無だった。
レノス
ローム川に面して作られた港町。ローム川上流に森が広がり、鉱山が存在する為交通と商業の要所となっており、毛皮と材木の取引も盛ん。遥か昔、ホロはこの町を訪れたことがあり、町の言い伝えでは「麦束尻尾のホロウ」と呼ばれていた。名物はビーバーの尾っぽ料理とローム川で採れる二枚貝の料理。
[編集] その他
正教徒
教会における正しい教えである唯一神教(正教)を信仰する人々。ワインを神の血と呼ぶ・商業を疎んじる・聖典に蛇は人を堕落させるものと書かれている等、教えや慣習はキリスト教と酷似している。
北の大遠征
毎年真冬の時期に行われる遠征。聖人リュビンハイゲンの誕生日に合わせて行われる記念行事的なものだが、大司教や南の大帝国の皇族、傭兵や各国の王宮騎士団も参加する大遠征の為、遠征前になるとリュビンハイゲンでは軍需品等の関連商品が飛ぶように売れる。しかし作中における年では、遠征路上にあるプロアニア王国(上述)で政治的混乱が起き、リュビンハイゲンと王国の関係が悪化。国内に住む異教徒に奇襲をかけられる恐れがあり、参加する要人達の安全を確保できないためやむなく中止された。この結果、武具等の値段は大暴落することとなり、遠征に参加する兵士達の消費を狙った、沿路にある地域にも様々な影響を与えた。
以上で物語に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] 既刊一覧
括弧内は発売日。
* 狼と香辛料 - ISBN 4-8402-3302-0 (2006年2月10日)
* 狼と香辛料 II - ISBN 4-8402-3451-5 (2006年6月10日)
* 狼と香辛料 III[3] - ISBN 4-8402-3588-0 (2006年10月10日)
* 狼と香辛料 IV - ISBN 4-8402-3723-9 (2007年2月10日)
* 狼と香辛料 V - ISBN 4-8402-3933-9 (2007年8月10日)
* 狼と香辛料 VI - ISBN 4-8402-4114-7 (2007年12月10日)
* 狼と香辛料 VII Side Colors - ISBN 4-8402-4169-4 (2008年2月10日)
o 「少年と少女と白い花」(初出:電撃hp.vol47 - 49)
o 「林檎の赤、空の青」(初出:電撃hp.vol44)
o 「狼と琥珀色の憂鬱」(書き下ろし)
* 狼と香辛料 VIII 対立の町 <上> - ISBN 978-4-04-867068-5 (2008年5月10日発売)
[編集] 既刊未収録の作品
発表順に記載。
* 「学園ホロたん(ハートマーク)」(初出:電撃hp公式海賊本「電撃h&p」 )
* 「若草色の寄り道」(初出:「電撃文庫MAGAZINE」プロローグ2)
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